GeoGebraを使ってε-N論法(数列の収束)を可視化してみた。
はじめに
今回はε-N論法について,収束する例としない例をあげ,個人的な思いを書いた。
※ スマホではグラフが小さくなるのでPCで見ることをすすめる
数列が収束する定義
のとき数列 がAに収束することの定義は
「どんなAのε近傍を考えたとしても,数列のある番号Nからは がε近傍に含まれるようなNがとれる」
である。
可視化による解釈
収束する数列の例
下の図に関して,どのようにεのバーを動かしたとしても,N以降の数列が全て近傍に入るようなNがとれることがわかる。よってこの図の数列は収束している。
(ε-Nを勉強している人で,εがめっちゃ小さいときにほんとうにNがとれるかどうか怪しいと思う人はコメントください。コメントかskypeで説明します。)
収束しない数列の例
下の図に関して,εが大きければ条件を満たすNがとれるが,ε=0.7を考えれば,条件を満たすNが取れないことがわかる。よってこの図の数列は収束していない。
まとめ
このように図を書くことができれば収束の定義が簡単であることはわかる。なにも難しいことはない。ある番号以降収まっていればいいだけだ。
数学の大きなテーマに抽象化があり,図で考えることは抽象化の逆の操作をしているように感じるが,僕のよく知るすべての数学者は,抽象的な定義であっても心の中に具体的なイメージをもっている。それはネットの向こうの人を想像するのとにたような作業である。この記事を見た人にとってこの記事が具体化の手助けになればいいが,そうでなくてもε-N論法をいじめないでほしい。
参考図書
僕はあまり読んでいませんが後輩がよく読んでいた本と,お世話になった教授の教授が書いた本です。解析学入門(田島一郎)のテクニック的な内容が書かれていました。