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収束する数列は有界

はじめに

今回は「収束する数列は有界」という定理を前回のイメージを使って示します。

この定理は当たり前のようなことですが,数学には当たり前の基準がないので,示すのは当たり前ですね。。。

有界な数列とは

数列 {\{ x_n \}}有界であるとは

「あるMを考えたとき,どの番号nに関しても {| x_n |\le M} となるMが存在する」 

である。

(論理記号では {{}^\exists M}>0 s.t. {{}^\forall n\in \mathbb{N}}{ |x_n |\le M})

有界な数列のイメージ

以下の図では青色に入っていれば  {| x_n |\le M} をみたしているが,すべてのnについてではないので,有界かはわからない。

そこで,Mのバーを一番大きくすれば,全てのnについて{| x_n |\le M} を満たしている。よってこの数列は有界であるといえる。このように,ある定数で全ての点を抑えることができれば,有界であることがわかる。

 

収束する数列の有界

それではAに収束する数列の有界性を以下の図を使って考えてみる。 図から収束する数列は番号N以降ε近傍に入る。よってN以降だけを考えれば有界である。一方N以前は有限個しかない。実際上の図では5個しかない。よってこの場合M=max{{ x_1,x_2,x_3,x_4,x_5,近傍}}を考えれば数列が有界であることが示せる。

 

バーを動かせばわかるように,どのようなεを考えたとしてもN以前の個数は有限個なので M=max{{ x_1,x_2,x_3,...,x_{N-1},近傍}}とすれば有界性が示せる。

証明のポイント

一般的に,有限個であれば最大値は求められる。しかし,無限個であれば求められない場合がある。今回の証明は「1〜N-1は有限個で有界」,「 N〜は収束性で有界」に分けることで有界性を示している。

 

まとめ

イメージがあればこのような証明は自然と見えてくる。あとはイメージを言葉に置き換えれば証明は終わる。言葉に置き換えるときに,論理記号の順番や書き方の訓練はいるが,それはε-N論法の本質ではない。もし書き方の質問があるならコメントかTwitterで連絡してください。

参考図書(adblockを有効にしていればきえる)

毎回同じ本なので紹介しなくてもいいかもしれないが,今回の証明は以下の

本の例1を参考にしている。もともとわかりやすい本なので僕が解説する必要もないかもしれないけどね。

 

解析入門 (岩波全書 325)

解析入門 (岩波全書 325)